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照井康文

世界の写真家達
Hine,Lewis W.(1866〜1940)
ルイス・W・ハイン
 アメリカ・ウィスコンシン生まれのハインはアメリカ社会派写真家として初期に属し、最も偉大な写真家である。ニューヨーク市の私立学校で地理の教師をしていた37歳の時から本格的に写真を始める。当初はアマチュア写真家であったが、ニューヨークのエリス島へ撮影に行ったとき住民の貧困と苦境に触れ、社会人としての普通の権利も与えられていない人々の苦難を写真を通して記録することに生涯を賭けることを決意する。
 教職を投げうったハインは1908年国家児童労働委員会の専属写真家となる。ハインは自ら「写真による解釈」と呼ぶ手法を用いて、工場や鉱山に働く児童労働者の過酷な現状を記録し、低賃金労働を強いられている少年労働者の現状への怒りを表現した。これらの写真がアメリカ児童労働法の成立に大きく貢献したのである。
 ハインは写真がいかに単純であっても個人の意思や思いが写りこむことは避けられないことであり、主観の介在を認めていた。「写真による解釈」と自ら呼ぶ手法がそれである。この主観的写実主義を求める有望な写真家達が彼の後を追うように多く続出し、一つの運動となった。

 「夜間操業中の工場」1908年
※写真はライフ写真講座「68人の写真家」
タイムライフブックス編集部・編集
タイムライフブックス・発行より
※参考文献・ライフ写真講座